評価 ★☆☆☆☆
一言で喩えると『余命は金で買え! 恐怖の不老不死社会が実現』
2012 "In Time"
監督はアンドリュー・ニコル。傑作「トゥルーマン・ショー」の脚本を書いた人らしい。
設定は近年の格差社会を皮肉ったものになっていて、SFギミックとしては凄く面白い。
- 科学の発展により不老不死が実現され、すべての人間の年齢は25歳で止まり、それ以降は老いることも死ぬこともない。
- ただし、それだと人口爆発が避けられないため、25歳を超えたすべての人間には人工的な寿命が設定されており、稼いだ金で延命しない限り死んでしまう仕組みとなっている。
- 腕時計型デバイスに金であり寿命でもある数字が表示されている。時間がたつとどんどん数字が減っていき、金を稼いで数字を増やし続けない限り、数字がゼロになると死んでしまう。
- 結果、世界は金持ちと貧困層に分裂。富裕層は永遠の命を享受できる一方で、貧困層は死と隣り合わせの状況で地道に金を稼ぎ続けるしかない。
仕事をすると給料分のポイントが加算され、買い物をしたり乗り物に乗ったりすると、ポイントが減っていき、ゼロになると死んでしまう。。というのがなかなか殺伐としていてよい。
以下ネタバレ。
主人公は貧困層の出身だが、偶然に大量の金を手に入れたことから、殺人容疑をかけられてしまい、警察から逃げ回りながら自由を求めて逃避行をはじめる。
―という筋書きなのだが、主人公は体制に反抗して警察と戦ったり銀行強盗を繰り返したりしているだけで、せっかくの設定がぜんぜん活かせてない。最後なにかどんでん返しがあるんだろうな。。と思いつつ見ていたんだけど、結局なにもおこらないままあっさり映画が終わってしまったので逆にびっくりしてしまった。俳優も美形揃いだし、映像も綺麗なのだが。。
貧困層の主人公が急に莫大な金を手にしたことで警察に怪しまれて追われる身になってしまうのだが、貧乏人がせっかく金を手に入れても人生逆転して永遠の命が得られないのでは、『金=命』というシビアな世界観がぜんぜん活きてこない。これではただの世襲制の貴族社会だ。
最終的に主人公は銀行強盗を繰り返して貧民層の人々に金を分け与える、ネズミ小僧みたいになるのだが、結局このシステムって不老不死による人口爆発を防ぐために作られたワケで。。 なんの解決にもなっていない気がする。
せっかく面白い設定をつくったのだから、ちゃんとストーリーもそのテーマに合わせてちゃんと作って欲しかった。ざんねん。
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